柴田直人・特別インタヴューPart2: プロローグ3と今後について(2/4)

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プロローグ1&2

—-なるほど。再結成されてから、約10年経ちますが、ここまでやってきて、バンドとしての成長を肌で感じますか?

柴田:ある意味ではANTHEMは、特にこの10年間、もっと言うと25年間、根本的なものは変わらないんです。自分達が本当に好きだと思うものを必死で作って、それを本気でライヴにかける。それを見ていただいて、好きだ、と言っていただければ最高に幸せですし、もし、こんなものは価値がない…、と言われれば、それは仕方がないんだと思います。音楽という部分においては、過去に参加したメンバーも今のメンバーも、本当にバンドに賭けていて、時間も取って取り組んでいます。そういう部分では何も変わりません。例えばメンバーが変わり、ベース、ドラム、ギター、ヴォーカル、それぞれ、その時々で、目指すものはあったと思いますが、根本に、ANTHEMはこういうバンドで居続ける続ことが気持ちいい、続ける魅力がある、という思いが変わらないんです…、まあ、あくまでもプレイする方としての考えですが。各時代それぞれに、実にキャラの強いメンバーがいて、その時々でベストを尽くし、色んな作品を残してきました、僕はそれを誇りに思っています。その作品を作るために集まったメンバーと彼らとの全ての作業をね。

で、再結成をするにあたって僕が思い描いた4人が、ここ10年間変わらないできました。ともすると、誰がリーダーだかわからないような時もありますし(苦笑)、僕が引っ張られたり勇気づけられたりすることだって多々あります…。正直、男が4人集まると、いろんな事がありますよ。それを、いとも簡単に、何もなかったように自然に乗り越えられるこのチームワークを、ミュージシャンとしてはもちろん、やっぱり人間としてとても大事にしたい…、と思っています。「ロックバンドってそうもんじゃないじゃん。なんかさあ、ケンカし合って、殴り合ってさあ…」、というのは違います、だいたい逃げや言い訳の場合が多い。もちろん、意見が食い違うことがあったりもします。それはあくまでも、自分達がやりたい、本当に良いと思える音楽を作るためのものであって、力の誇示や人間関係を壊すためのものではありません。そういう意味では、信頼関係はもう本当に揺るぎないものがあります。

例えば本間君が事故に遭って故障した時も、1年間でだめなら2年間待つつもりで、僕も清水も英三もいましたし。例えば英三の調子が悪ければ、清水の調子が悪ければ、と考えると、彼らの代わりになってツアーを乗り越えたり、レコーディングをしたり…、才能のある人は、ギターにもドラムにも、ヴォーカルにもいっぱいいます。ただ、そういうことではないんですよね。「アイツは時々にムカつくけど、でも、なんか一緒にいて楽しいよ」っていう…。これは僕と英三の関係ですね(笑)。「アイツは俺より一回り下なのに、なんて正しいんだろう」…。まぁ、僕が正しい正しいって言うので、みんな清水には非常に品行方正なイメージを抱いているかもしれませんが、出さないだけで、とてつもなく男っぽいガッツ溢れる男でよ。本間君は、ただただ寡黙で…、職人、というキャラでいっていますが、そんなことはなくて、実は彼が一番、発想も、行動力も含めて、一番ロックンローラーであることを知らない人はたぶんいっぱいいるでしょうね(笑)。ついでに言うと、いつも正しいことを言って、絶大な推進力を持ってバンドを引っ張る、というイメージを僕に抱いているかもしれませんが…、まあ、もちろん努力はしていますが、実は同じ人間だとは思えないほど、幼稚なくだらない男ですよ、僕は(苦笑)。ただ熱意はもちろんありますよ(笑)。…そういう、普段表に出ないところで本当にこの4人は結び付いています。

今は、個人個人の成長がバンドのリレーションシップにそのまま結び付くような関係なんですよ。ですから、例えば一人がすごく調子が悪くても、他の人間が一生懸命フォローし合うような…。

—-自然治癒力、というか…。

柴田:そう。そうかと思うと、「まじめなだけでは音楽ってつまらないじゃん」と。「失敗しようが、後で反省しようが関係なく、勢いだけで行っちゃおうよ」というような所も取り込みつつ…。と、考えると、やっぱり20周年がひとつのきっかけだとは思うのですが、20周年の前と後では、バンドの中の空気が全く違います。20周年の後に、「このまま盛り下がるのはいやだね」と言って頑張って作ったIMMORTALがやっぱりその引き金になったと思いますね。より、個人個人、自分に対しても相手に対しても欲張りになりつつ、バイ菌が入ってきて誰かが傷付いたりすると自然に全員でフォローする、みたいな。そういう意味では、多少ですが進歩はしているのでしょうね。僕らはよく、進化進化っていっていますが、同じメンバーで同じパートで、同じバンドをやっていますので、進化といってもアルバム一枚一枚が全く別のバンドのようになることはない代わりに、毎作、本気でANTHEMの魅力を全員で引き出す気でいます。なので、IMMORTALみたいな性格のアルバムとBLACK EMPIREみたいな性格のアルバムが、おそらく作れたのでしょうね。

—-メンバー間の絆であったり、誰かが調子が悪い時にリカバリーできたり、というところがクオリティにも結び付いてきているような気もするんですよね。

柴田:そうですね。でもね、絶対に傷の舐め合いはしないところがまたすごいんですよね。だめなものは絶対だめ、いけないことは絶対いけない…。例えば、きちっとプレイしなきゃいけない部分も曲の中にはあったりして、(こだわるべき)いろんなことがあるわけじゃないですか。そういう、お互いに対して甘やかさない、甘えない、というのも同時にあります。25年やってきて、この間の「1&2」が今まで見た中で一番タイトだった、と言われてみると、やっぱりそういうことが進化として表れているのかもしれないと思いますね。個々が、自分にも相手にも同じだけ厳しく、だけど、全員同じ方向を向いている、というような…。「俺達もっとすごくなれるのかい?」ではなく、「俺達もっとすごくなりたい」と、いつも本気で思っています。

—-曲にのめり込む、というところのこだわりであのライヴができる、というのは、できそうでできないと思うんですよね。

柴田:どうなんでしょうね…、世間には上手いバンドも山ほどいますし、チームワークのいい人達も山ほどいますよ…。僕らがそういう範疇に入るかどうかはさておき、常に、今日よりは明日、明日よりは明後日、今月よりは来月、今年よりは来年、というふうに、「もっとすっごいロックバンドになりたいよね」、「もっとロックしたいよね」、「もっと楽しみたいね」と、なんかそういうことばっかり考えていますね。ですから、「これでいいや」というのは、おそらくないんでしょう(笑)。

—-そう、他のインタビューで、中途半端にやると擦り減っていく、ともおっしゃられていましたよね。

柴田:あくまでも僕の経験ですが、「まぁいいか…」というのが積もり積もると、あるタイミングであっという間に解散したり、突然凄まじいほど険悪になったり…、そういうことを見て見ぬふりをしながらCDをずっと制作したりライヴをやったりしていくと、気が付いたら自分のバンドをあまり愛せなくなっていたりするんです。僕が言う、擦り減る、というのはそういう事なんです。ですから、ま、すごく大枠で「楽しく、もっとすごくなろうよ」と言っているのですが、やっぱり個人個人、自分に対して相手に対して求めるもののレベルは譲らないでいく…、というのはとても大切な事だと思います。

—-世の中の作品には、バンド自らがのめり込めるような、一生懸命になれるような楽曲ができていないのかな、と感じるものもあったりしますよね。

柴田:わかりませんが…、僕らはこの間、新作の録音を延期したのですが、その理由は、やっぱり根本的にそういう思いがあるんですよ。まあまあなものを作るつもりでCD制作に入ると、とんでもない事態になるような気がします。ですから、仮に僕らが「これだろう!」と盛り上がってリリースした作品が世間に受け入れられなくても、そういう精神で音楽をやること、もしくは、そういう精神でい続けられる環境を重要視するんですよ。手前味噌ということではないのですが、自分達で愛し続けられるものが揃わない限り、作品に残すのは、本当に擦り減ります…。また、例えば、僕らの周りにもいろんなスタッフがいます。照明さん、PAさん、バックラインのテクニシャン、イベンター、雑誌の方、もちろん、ビクターエンタテインメント…。いろんな方の中から、一つ抜け、二つ抜け…、歯が抜けていくように、バラバラになっていくような事を、僕はANTHEMの最初の10年間でいろいろ経験しました。ま、若かったので分からなかったのですが…。再結成した時には、思うようにはいかないのは承知の上で、でも、自分の気持ちの中で何か引っかかりのあるものに関しては、必ず白黒付けて進もう!と。難しいですが、それはいつも心掛けています。

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